新訳版を買ってしまった

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

・・・あーあ。やっちゃったよ。

銀河ヒッチハイク・ガイド」の新訳版を買ってしまった!!復刊.comで旧訳版を1,420円も出して買ったのに!!

Don't Panic

・・・ま、まぁ新訳版には、もはや入手不能と思われていた続編「宇宙の果てのレストラン」もあるわけですよ。映画化さまさまである。これを読むからには、やはり「銀河ヒッチハイク・ガイド」も新訳版で読んでおかないと、違和感がでるじゃないか。
買ってしまったものは仕方がない。新訳「銀河ヒッチハイク・ガイド」を読んでみた。「Don't Panic」の訳が「あわてるな」から「パニクるな」に変わっているとか、ザフォドがゼイフォードになってるとか、その他もろもろ細かい違いがあるが、全体的にとても読みやすくなっている。あの気の利いたジョークをテンポ良く読めるとなると、面白さも格段に向上する。

いや、まじで面白い本だと思う。皮肉もジョークも面白いし、人を小馬鹿にしたような理論に基づいた怪しげな装置や現象もごろごろ。エイリアンも変な奴ばっかりだし、ロボットに至ってはいつも憂鬱でみじめな気分に浸っている。そして地球に隠された壮大で途方もなくバカな真実。不真面目であることは間違いないが、これは立派にSFしてるし、イカした物語だと思う。なのに、俺の周囲でこの本を知っている人間は極僅か。もったいない!あまりにもったいなすぎる!お前ら、みんな本屋に走ってこの本を買え!そんでもって、劇場に行け!もちろん、タオルを持ってな!

それはともかく、旧訳と新訳で一番異なっているのは、たぶんココ。

ごくわずかな有限不可能性であれば、強力なブラウン運動発生機(たとえば入れたての熱いお茶とか)内に原子ベクトル記録機を懸吊し、バンブルウィーニィ第五十七番亜中間子頭脳の論理回路をそこに接続するだけで生成できるし、その原理は言うまでもなくよく理解されていた・・・どころか、そんな有限不可能性生成機は、パーティで座を盛り上げるためにしょっちゅう利用されていた。女主人の下着の全分子を同時に三十センチほど左にずらすのである。

・・・氷割ってない?旧訳はこう。

バンブルウィーニィ57サブ=メゾン頭脳の論理回路を、強力なブラウン運動発生機(たとえば、熱い紅茶)の中にとりつけられた原子ベクトル・プロッターとつなぐことによって、有限な不可能性が発生する原理は、もちろんよく知られている・・・そうした不可能性発生機はパーティなどで氷を割るのによく使われている。不確定性理論に従い、ホステスの下着を構成する全ての分子を同時に左に1フィート移動させると、氷は割れるのである。

「不確定性理論に従い」の下りが消滅している。原文は「座を盛り上げる」と「氷を割る」の両方の解釈ができる文なのか・・・?「氷を割る、冷たさを無くす、熱くする、盛り上げる」と連想できなくもないが、そういう慣用句でもあるのかね。普通の文として読むと新訳のほうが正しい気がするものの、これは「銀河ヒッチハイク・ガイド」だし、氷割るぐらいの不条理はやってのけそうな気がする。判断がつかない。