ふしぎの国のアリス

集英社文庫の、北村太郎訳のやつを買ってきた。これまで読んだ中で一番面白いアリスだった。

ふしぎの国のアリス』についてはもはや説明不要であろう。今回この本を手に取ったのは、ひとえにジョン・テニエルの挿絵がたくさん載っていたからなのだが・・・決して『ハチミツとクローバー』な表紙に惹かれたわけでなく・・・、買ったからには一応読んでおくか、と読んでみたらなんかやけに面白い。

訳がうまいのもあるのだろうが、これはむしろ俺の成長によるものだと思う。こちとら、ここ数年モンティ・パイソンやら銀河ヒッチハイク・ガイドやらイギリス方面の不条理ジョークにもまれていたのだ、『アリス』のへんてこなキャラクターたちのナンセンスなやりとりにも理解を示せるようになろうというもの!職業柄、ナード的センスも持ち合わせているぜ!修行の成果、いまここに顕現!

アリスとドードーのやりとりに、きちがいティーパーティ、ニセウミガメの身の上話、どれもこれも理不尽で不条理で意味不明で、終盤の裁判にいたってはあまりのわけのわからなさに読むのも大変になってくるほどだ。児童向け文学とはいうもののこれ読んで面白いと思う子供がどれだけいるのだろうか疑問だ。なにより、我々日本人には、『アリス』のキモとも言える数々の言葉遊びがちっとも理解できないとくる(『アリス』ほど原書を読みたくなる本も無いよねぇ?)。

でも、大人になってから読むと、面白いかどうかはともかく、また違った印象を受けるのではなかろうか。風刺なんかは大人にならないとしっくり来ないだろうしな。

ま、『アリス』は漫画でも小説でも映画でも利用されまくること枚挙に暇がないし、今後もたくさん出てくるだろう。そいつらの元ネタを知っておく意味でも、読んでおくのは悪くないと思うよ。