宇宙クリケット大戦争
- 作者: ダグラス・アダムス,安原和見
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/04/05
- メディア: 文庫
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『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズ3作目が遂に登場。二作目が刊行されて以来全然音沙汰無かったから、もう訳されないかと思ったぜ・・・。
さて、『宇宙クリケット大戦争』だが。ストーリーは全然大したこと無い。どのくらい大したこと無いかというと、読み終えた直後の俺が、さっぱりストーリーラインを思い出せないぐらいである。すまんダグラス、俺には面白さがわからん。
が、要所要所に出てくるネタは非常に秀逸。個別に見るとすごく面白い。
宇宙の全生命を侮辱して回ることに情熱を燃やす不死人「無限引き伸ばされワウバッガー」、転生するたびに偶然アーサーに殺される「アグラジャッグ」、無限不可能性ドライブを超える「レストラン数論ドライブ」、非常にシンプルな「空を飛ぶ秘訣」、「ラチェットドライバーの実」はその名のとおりラチェットドライバーが木になっている・・・よくもまぁここまでアホなネタを思いつく!
一番面白いのは、間違いなく宇宙一憂鬱なロボット・マーヴィンと、スコーンシェラス・ゼータ星の湿地帯に生息するマットレスとの会話であろう。キャラクター描写が素晴らしい。マットレスはどこまでものんきだし、マーヴィンはどこまでも落ち込んでいる。・・・どこか抜粋して書こうかと思ったのだが、どこも面白いので選べない。
シリーズのファンは読みましょう。そうでない人は・・・やめとけ。たぶんついて行けない。
ところで、一作目『The HitchHiker's Guide to the Galaxy』と二作目『The Restaurant at the End of the Universe』の邦題は直訳になっていて、それぞれ『銀河ヒッチハイク・ガイド』と『宇宙の果てのレストラン』である。しかし、三作目『Life, the Universe and Everything』は直訳すると『生命、宇宙、その他もろもろ』であり、タイトルとしては格好悪いので、『宇宙クリケット大作戦』ともうちょっとマシな名前に変更している。
これは、日本語に訳したから違和感がある、というわけではなく、原題からしてどこかおかしいらしい。実際、ダグラス・アダムスの周囲はタイトルを変えた方が良いと忠告したそうだが、ダグラスは一作目で使った言葉をタイトルに用いることにこだわっていて、こうなったそうだ。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズは全五作であり、残す二つは『So long, and Thanks for All the Fish』(さようなら、魚をありがとう)と『Mostly Harmless』(ほとんど無害)である。こいつらもまたタイトルとして見栄えがしない。この二作も訳されることが決定しているのだが、果たしてこのタイトルをどう訳すのやら。