愉快な法則達
Wikipediaの「法則の一覧」を見るとわかるが、世の中には「法則」というのが数多くある。その中には、論理と厳密な観測から得られた物理法則ばかりでなく、経験則などから得られた、どこまで本気でどこからジョークなのかわからないものも多い。もちろん、読んでいて面白いのは後者だ。そういうわけで、後者をいくつか紹介してみたいと思う。職業柄、IT系のネタが紛れ込むがご勘弁を。
マーフィーの法則
とても有名な法則である。その意味はあまりに広範に及んでしまっているが、根幹は次の一文にある。
「起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる。」
これは、むしろ
「失敗する可能性のあることは、失敗する。」
「起こって欲しくないことは、起こる。」
という意味で使われることが多い。技術者はこれを戒めとして、楽観的な考えを締め出し、念には念を入れた過剰なまでのエラー対策を講じるのである。
ピーターの法則
「有能な人は出世する」→「その人の能力が通じなくなったところで出世は止まる」→「これが繰り返され、結果どの階層も無能な奴ばかりになる」という理屈。
人事を報償として運用するとこういうことになる。
また、IT業界では、経験豊富なエンジニアを管理者に昇進させて技術畑から遠ざけてしまうという愚挙が平気で行われるが、これはピーターの法則を彷彿とさせる行為だ。
ディルバートの法則
「現場に優秀な人間を残すために、無能な人間を管理職に引き上げる」というもの。
かの有名なマンガ、Dilbertの作者であるScott Adamsが作った法則。ピーターの法則に似ている。
@ITがDilbertの連載を始めたので、読んでみるとよい。面白いから。
パレートの法則
「結果の大部分は、一部から生じる」という考え方で、「80対20の法則」として良く知られている。
例えば、「会社の利益の80%は20%の社員が生み出す」「処理時間の80%は20%のモジュールでかかる」etc, etc...。80と20という数値の組み合わせに根拠があるわけではないが、「それっぽい」。自分なりの拡張を簡単に作れそうだ。
パーキンソンの法則
「資源はあるだけ使われる」という法則。資源というのは、例えば「予算」「時間」等々である。
元々は官僚組織の非効率に対するツッコミなのだが、組織全般に拡張できると思われる。これは、主に「時間」について実感がある。仕事を早く仕上げてしまうと、それが作業時間の基準になって次回以降はより短時間で片付けることを要求されそうなので、終わっていても終わっていないフリをするのだ。早く片付けたところで、誰が誉めてくれるでもない、給料が上がるでもない。いやはや、非効率的である。
ブルックスの法則
IT業界にいてこの法則を知らないやつはモグリである。
「遅れているプロジェクトに要員を追加すると、さらに遅れる」という法則だ。
安直に要員を増やして人海戦術で片付けようとしても、追加要員が仕事を覚えるまで時間がかかるし、その立ち上げ期間はすでに戦力となっている人々に余計な負担をかける。また、人数が増えれば増えるほど連携が難しくなる。そうしたマイナス面が大きいので、ますますプロジェクトは遅れる。
1975年に出版された『人月の神話』で初めて世に知られた法則だが、30年以上経過した現在でも有効である。
ちなみに、作業内容が単純であれば、人海戦術は有効である。
エントロピー増大の法則
「物事は混沌とする方向に向かい、その逆はない」といった法則。
「熱力学の第二法則」として知られる、れっきとした物理法則である。が、この法則はジョークや言い訳のネタに使われることが多い。会社組織が複雑化する一方なのも、俺の部屋が散らかる一方で全然片付かないのも、エントロピー増大の法則で説明できるわけだ。
スタージョンの法則
「どんなものでも、その90%はカスである。」という、なかなか大雑把というか暴力的な法則。SF作家シオドア・スタージョンが作ったもの。なんにでも当てはまる。例えば・・・クソゲー天国なテレビゲーム業界や、大量に放映される深夜アニメとかどうですか。
クラークの三法則
- 高名だが年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている。
- 可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである。
- 充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。
3. が有名。どこぞのギリギリ科学少女もネタにしている。
1. については、おそらく「科学者」を「技術者」に置き換えても通用するであろう。