虐殺器官
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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SFが読みたい!〈2008年版〉発表!ベストSF2007 国内篇・海外篇において、あの『Self-Reference ENGINE』を抑えて国内篇一位を獲得した戦慄の近未来SF。
近未来、先進諸国は個人認証とトレーサビリティを強化・徹底することでテロや犯罪の発生を抑えていた。しかし、後進国では逆に内戦が多発、虐殺の嵐が吹き荒れていた。内戦に軍を派遣し干渉し続けるアメリカは、虐殺の背後にちらつくある人物を特定する。彼の名はジョン・ポール。内戦から内戦へと渡り歩き、彼が立ち寄った場所では必ず虐殺が発生している——。
おっかない小説であった。虐殺の描写とかそのSF的原因ではなくて、登場人物たちの思考のグロテスクさが。そしてなにより、その思考は間違っていないのかもしれない、我々も意識していないだけで同じようにグロテスクな考えをしているのかもしれない、と思わせるところがおっかない。
この場でネタバレしていろいろ書いてしまいたい気持ちも多分にあるのだが、ここはグッと我慢しておく。これは自分で読んで、ぜひとも俺が感じた戦慄と得も言われぬ読後感を、同様に感じていただきたいのである。