コダワリ人のおもちゃ箱
コダワリ人のおもちゃ箱 | |
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松浦晋也『コダワリ人のおもちゃ箱』読了。趣味や好奇心が昂じて、突き抜けてしまっているスゴい人々を紹介する本だ。みんなすごすぎる。業種は違えど、こういう人たちをハッカーと言うのではなかろうか。
コダワリ人、というのは、この本の序章で次のように定義されている。
自分の興味の対象に向けて、人並みはずれて突っ込んでいく人、そして突っ込んでいく過程を自分自身が思い切り楽しんでしまう人、さらには自分が突っ込んでいった成果がなんらかの形で社会に向けて胸を張れるまでのレベルに達している人。
そんなコダワリ人として紹介されるのは8名。
- 蒸気機関車を自作して走らせている羅須地人鉄道協会
- 高効率自転車を開発した織田紀之氏
- バイクとサイドカーをフレームから新造したオートスタッフ末広
- 学生達と小型人工衛星を開発、打ち上げた中須賀真一氏
- 条件の悪い東京都心で美麗な天文写真を撮影する岡野邦彦氏
- 高度に情報化された家を自ら作りそこに住む美崎薫氏
- 世界記録を持つエコカーを自作した中根久典氏
- ギネス記録を持つプラネタリウムを自作した大平貴之氏
みんな、「欲しいと思ったけど、無いから自分で作った」または「趣味を突き詰めたらここまで来てしまった」といった案配である。一般路線から逸脱したことをやろうというのである、実現にこぎ着けるまで技術的困難はもちろんだが、それ以外にも資金やら法制度やら対処すべき問題は山積みだ。しかし、誰にそれを強要されたわけでもなく、ただそれをやりたいという熱意で問題に立ち向かい、結果的に成し遂げてしまうのだ。しかも、ここが重要だが、楽しんで。それどころか、成し遂げた後も、さらに先を目指して動き続けている。
中須賀氏と大平氏が成し遂げたことについては、それぞれ『キューブサット物語』と『プラネタリウム作りました。』で読んで知っていたが、他にもこんなにコダワリ人がいるとは。きっと、OpenSkyの八谷和彦氏や、同人STGの東方プロジェクトで有名なZUN氏もコダワリ人に入るのだろうなぁ。
物作りっていうのは、楽しいもの。そんな当然だがつい忘れそうになることを思い出させてくれる。そうだよな、義務感や責任感だけじゃやってられない。やっぱり自分が楽しめないと。
それにしても、エクスナレッジの本にはやられっぱなしだな、俺。