「水からの伝言」を信じないでください

水からの伝言』といえば、現代を代表する疑似科学・・・というか、もはやファンタジー・・・の一つである。これに異を唱える文書が登場。『「水からの伝言」を信じないでください』。学習院大学の物理学者・田崎晴明氏が作成したという。

水からの伝言』というのは、そりゃもうすごい内容の本なのである。なんでも、氷の結晶を作る際に、「ありがとう」といった言葉をかけると綺麗な結晶が出来上がり、「ばかやろう」といった汚い言葉を浴びせると崩れた結晶ができあがる、らしい。

水が人間の言葉を理解して反応を変えるわけがない。そもそも、出来上がった結晶が綺麗か汚いか、など人間の主観にすぎないし・・・あぁ、つっこむのもあほらしい。とにかく、あからさまにあり得ない。それでも信じてしまう人が多数いるというのが、なんとも泣けてくる・・・。

しかも、驚くべきコトにこの疑似科学を学校の教育に利用しているという事例があるらしい(理科ではなく、道徳の授業であったことがせめてもの救い)。さすがに日本の将来も心配になってくるというものである。これは科学の危機だ。

だが、世のまともな学者達は、これを相手にしない。というのも、これら疑似科学は対象分野の専門家からすれば稚拙極まる代物であり、相手をする価値もないのだ。それに、疑似科学側がデタラメを言い散らかすのは簡単だが、これにきちんと反証するのは手間がかかり、それをしたところで特になにか利益があるわけでもない。だから、放置され、これらを信じてしまった人々が誤りに気づく機会は少ない。

そんな中、学者からのちゃんとした反論サイトが登場したことは非常に意義がある。我々一般人の言葉とは比べものにならない説得力を持っているのだから。『水からの伝言』を信じてしまった人ほど読んでもらわねばならない。健全な科学教育のためだ。

ゲーム脳」が世に登場したとき、このうさんくさい疑似科学に反論するページへのリンクをみんなで自分のホームページやblogに貼り、GooglePageRankを上げてやろう、という試みがなされ、それなりの成果を上げている。『ゲーム脳』に興味を持って検索してみた人に、まっさきにこれが疑似科学であることを伝える目的である。今検索してみたところ、『斎藤環氏に聞く ゲーム脳の恐怖』は三番目にランクインしている。

今回も同様の試みがなされようとしている。松浦晋也のL/Dからの呼びかけである。ゲーム脳のときは参戦できなかったので、今回はちゃんとリンクをはっておこうと思う。疑似科学、滅ぶべし。