ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

有名なタイトルに手を出した。スティーブン・ジェイ・グールド『ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』。バージェス頁岩から化石として発掘された奇妙な動物群について書かれた本だ。奇妙、というのは誇張でも何でもない。本当にヘンテコで奇天烈な奴らなんだ、これが。

具体的にどういうやつがいたかというと・・・ネットで探すと、すばらしいサイトがありましたよ。まぁちょっと見てみてくれい。
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5218/ba-jyesu.html

こんな生物が地球上に実在していたとはにわかに信じがたいが、化石として出てきている以上、本当にいたのである。いやはや、どれだけ眺めても違和感がぬぐえない。伊達にバージェス・モンスターの別名で呼ばれていない。

『ワンダフル・ライフ〜』には、これら動物の美麗な復元画が多数掲載されていて、そいつらを眺めているだけでも楽しい。文章は筆者の主義主張のようなものが散見されて少々冗長な気がして、斜め読みした箇所も結構あるのだが、悪くない。この奇妙な動物たちが、古生物学の専門家の目から見てどれだけ異常な存在なのか、ということがしっかり書かれていて、驚きがいや増す。変なのは見た目だけではないのだ。

なにぶん古い本なので、いまとなっては間違っていることが分かっている記述もある。例えば、バージェス動物群の中でも最も奇妙な動物・ハルキゲニアは、上下が逆転している。また、オパビニアやウィワクシアが相当にイレギュラーな生き物として書かれているが、案外そうでもないというのが現在の判断であるらしい。

それでも、一般社会にバージェス動物群を知らしめた、伝説的な本である。ドラマチックで驚きに満ちた生物進化の物語は色褪せることがない。