Mind Hacks

Mind Hacks ―実験で知る脳と心のシステム

Mind Hacks ―実験で知る脳と心のシステム

技術者御用達の、コンピュータ関係の本といえば、オライリーの本であろう。その魅力は、表紙の素敵な動物のイラストと、巻末にあるその動物の薀蓄にある(えー)。ついでに、なんか高価で分厚くて難しそうで、買っただけで達成感を得ることができる点もすばらしい。・・・いや、中身も詳しくてわかりやすいんですよ?そんなオライリーから、日本では初めてITとは無関係な本が出た。それがこの「Mind Hacks」である。

Mindとあるが、別に日本語プログラミング言語「Mind」の本ではない。ここではこの世で最高の性能と柔軟性を誇る有機回路、「脳」を指している。人間の脳が持っている性質について、解明できているところは詳細に、理由はわからないがそうなることはわかっている、というやつもそれなりに書いてある。

脳の性質がもたらす錯覚などを体感できるムービーファイルなどのURLがたくさん記載されているので、実際に確かめながら読み進められるのもよい。「サッケード」している時に視覚信号が脳まで届いていないっていうのも、「マガーク効果」も実際に体験しないときっと納得いかなかっただろう。ほかにも脳というものが、どれだけすごいことをやっているのか、またその反対に、どれほど手を抜いているのかが明らかにされ、驚くこと間違いない。ここでは語り尽くせないたくさんの面白雑学を仕入れることができる。俺が読書に専念するときに、ファミレスにいって「クリーム白玉ぜんざい、あとドリンクバーと注文する理由も解明された!なるほど!

ただ、結構専門的に書いてあるので、気合い入れないと読み切れないかも。説明が細かく、ちゃんと出典も記載してあり、とても信頼が置けるのだが、読みにくいのは仕方がない。もともと拾い読みできるような構成になっているから、そう気にしなくていいかもしれないけど。てか、読み流せ。途中経過をとばしても、原因と結果がわかればそれだけでも十分楽しめると思う。

オライリーの本が難しそうだと避けている層も、これは読んでみていいと思う。おすすめ。