上がれ!空き缶衛星
- 作者: 川島レイ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/06/19
- メディア: 単行本
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空き缶サイズの人工衛星「CanSat」の制作と打ち上げに奮闘した大学生たちのドキュメントである。
「プラネタリウムを作りました。」と同時期に購入した本で、なんと著者の川島レイさんの直筆サイン本である。しかも、目の前で俺の名前入りで書いてもらった。そんなことができるイベントなんぞ限られる。そう、やはりこれも「ロケットまつり」で購入したのだ。2月の「ロケットまつり4」に行き損ねたのが悔やまれる。
さて、本の中身について。
アメリカはスタンフォード大学のトィッグス教授の発案による、空き缶サイズの超小型人工衛星の開発プロジェクトに、東大と東工大が参加してしまったのである。この本は、彼らの苦闘を追ったドキュメンタリーとなっている。
どうやったら人工衛星を作ることができるのか?いくら本屋を巡ったって、人工衛星の制作指南書なんて見つかりはしない。
例えば、太陽発電パネルを使って電力を得ていることはわかっていても、実際にパネルからどういう機械・配線を経由させればよいのかさっぱりわからない。各種計測機器をソフトウェアで制御することはわかるが、パソコンを積めるわけはないので、マイコンに頼ることになる。はて、マイコンってどこで買って、どう扱うものなのか・・・?
そんな中、まさに暗中模索で開発を進め、たくさん失敗し、機材を壊したりしながらも、着実に形にしていくのである。
憧れるねぇ、こういう仕事(仕事じゃないか)。やっぱり挑戦したいだろう、男の子は。人類がその短い歴史の中で海に、空に、そして宇宙に果敢に立ち向かっていったように、未知の領域に恐れを抱きつつも踏み込みたいと思うだろう。
もっとも、それはそれはつらく苦しい道のりとなろうから、よほどの情熱と信念が必要。それを与えたトィッグス教授はすごい人物だし、その環境を用意した東大と東工大の教授も大したもんだ。こういう大人になっておきたいね。まだ若輩ゆえ、人にどうこう言うまえに自分が学ばねばならないわけだが。
挑戦することの価値を思い出させてくれる熱い本であった。