巷説百物語

2冊目の京極夏彦に手を出した。

京極夏彦巷説百物語」読了。
続編の「後巷説百物語」が直木賞を取ったこともあり、アニメ化もされたそうだ。

江戸時代あたりを舞台にして、小悪党どもが暗躍する必殺仕事人的ストーリーになっている。この小悪党たちが、人をペテンにかけるのに妖怪変化のたぐいの話を利用するので、百物語なのである。

きっとこれが京極夏彦の作風なのだろうなぁ。魑魅魍魎を話に出しておきながら、実はそんなのみんなまやかしで、裏があるんですよ、説明のつかないような不思議なことなんてこの世にありゃしないんですよ、というスタンスを取る。これは「姑獲鳥の夏」と共通するし、まだ読んでいないその他の著作でも同様なのだろう。

俺は嘘やペテンを論破してみせる話が大好きである。そんなわけで、ペテンを破る側と仕掛ける側の違いこそあれ、この本も好きな部類の内容で、ネタばらしのときは「うまいことやりやがったなぁ、こいつら」とニヤニヤするのである。

気に入った短編は「芝右衛門狸」「塩の長司」。

巷説百物語 (角川文庫)

巷説百物語 (角川文庫)