猫の地球儀

猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)

猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)

猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)

猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)

人類滅亡後、地球の衛星軌道を回るコロニー「トルク」には、知性を持つに至った猫たちの生活圏が築かれていた。そこでは地球は「地球儀」と呼ばれ、死者の魂が向かう神聖な場所として信じられていた。しかし、それを否定し、地球儀へ生きたまま至ることを目指す猫がいる。彼ら「スカイウォーカー」の末裔、幽(かすか)・スカイウォーカーの三十七番目は、ある思惑を持って、スパイラルダイバーの頂点に立った戦士、焔(ほむら)に接近する。

秋山瑞人猫の地球儀 焔の章」「猫の地球儀 幽の章」読了。
まさに「猫かぶってる」本である。

その世界において絶対的である思想や文化に対して真っ向から立ち向かい、覆い隠された真実を明かそうとする意思。これが時代を切り拓いてきたことは疑いないが、それには犠牲も伴う。真実を追うことはただ知りたい、というエゴを満たしたいだけではないのか。明かさなくとも、その世界はうまくいっているのに、あえて代償を支払ってまで得るものがあるのか。

内容は哲学的だし、重い。「イリヤの空・UFOの夏」もそうだったが、あっけらかんとした明るい描写を持ってきたと思ったら、とんでもなく残酷な展開を見せたりするので、その落差にめまいがする。楽(かぐら)があまりに可哀想で・・・。

こいつは結構好みが分かれる本だなぁ。話の展開というか、著者の文体が作る空気になじめるかどうか。