ダ・ヴィンチ・コード

ルーヴル美術館館長、ジャック・ソニエールが何者かに殺害された。その夜、ソニエールとの会談を予定していた宗教象徴学者ロバート・ラングドンは、捜査協力を求められて向かった殺害現場で異様な光景を目にする。ソニエールは、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品「ウィトルウィウス的人体図」を模した形で横たわっており、その周りには意味不明なダイイングメッセージが書き残されていたのである。ソニエールの孫である暗号解読官ソフィー・ヌヴーは、その光景を一目見て、これが自分に対して向けられたメッセージであることを確信する。

ダン・ブラウンダ・ヴィンチ・コード(上)(下)」読了。
滅多に読まないミステリー小説を読んでみた。出だしが殺人事件なので、犯人探しになりそうな感じがすると思うが、実はプロローグの時点で犯人の顔も名前も(読者には)割れている。この本で取り扱うミステリー、それは「聖杯伝説」である。 聖杯伝説を知らなければ「Monty Python and the Holy Grail」でも観て勉強してほしい(ナイスジョーク)。

「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている。」

いきなりこんな文章が目に飛び込んでくる。そう、この本で扱っている情報は史実から構成されている。それゆえ、読んでいると、どこまでが真実でどこからが虚構なのかよくわからなくなってくる。

とにかく、蘊蓄がすごい本である。誰もが知ったる歴史や芸術作品に、知られざる側面、隠された情報がこんなにあるのだと、これでもか、というほど見せてくれる。もう、俺は素直な目でディズニーアニメを観ることができない!

そして、そうした蘊蓄と論理の積み重ねによって、キリスト教の根幹を揺るがすような驚愕の事実が次々と明らかになってくる。俺はキリスト教徒ではないのでよくわからないが、たぶん相当やばいことを書いているのではないか?よくヴァチカンから文句を言われないものだ・・・。

「無知迷妄はわれらを誤り導く。哀れな人間たちよ、おのが目を開け!」

思えば人類は、自らが生み出した思い込みのためにどれほどの血を流し、どれほどの回り道をしてきたことか。そうした迷信や無知蒙昧からくるまやかしに論理のメスを入れ、嘘や欺瞞を明らかにする、俺はそういう話が好きで好きで仕方がない。人類の知恵は捨てたものではないと信じさせてくれるからである。そして、この「ダ・ヴィンチ・コード」は、まさにそうした作品であった。面白くないわけがない!

翻訳書としては破格の読みやすさだし、謎につぐ謎を次々と解いて真実を明らかにしていく過程はある種のカタルシスを感じる。これはミステリー好きだけでなく、万人に勧められる本だ。

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(中) (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(中) (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)