プラネタリウムを作りました。
- 作者: 大平貴之
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2003/06
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 35回
- この商品を含むブログ (154件) を見る
「プラネタリウムを作りました。7畳間で生まれた410万の星」
という本を読んだのである。確か、昨年末にロフトプラスワンで行われた「ロケットまつり3」で購入した本だと思う。
方々のプラネタリウムに設置されている、プラネタリウムメーカーの投影機は、最新のもので約3万8千個の星を投影できるそうである。ところが、この本に出てくる「メガスター」は持ち運び可能なサイズと重量なうえ、170万個の星を投影可能、さらに次世代機である「メガスターII」はなんと410万個もの星が投影可能であるという。この性能だけで驚異だが、さらに驚くべきは、このプラネタリウムは、著者である大平貴之氏の個人制作だという点である!
「プラネタリウムを作りました。〜」は、氏が小学生のころに初めて作ったピンホール式のプラネタリウムから、大学生時代に完成させたレンズ投影式プラネタリウム「アストロライナー」、そして現在の「メガスター」を開発するまでの過程を綴った本である。
企業ではなく個人で作成しているわけだから、特別な施設や機器をそうおいそれと使えるわけでもなく、自宅の7畳間で開発を行っているのである。当然それゆえの問題が続出するのだが、これを学生or普通の会社員の財力と、あとは創意工夫で乗り切ってしまうのだ。不足する知識は、勉強やバイトで習得する。足りない部品や機器があれば、それを自分で作ってしまう。どうしても必要とあれば業者に外注(特注)しなければならないため、適当な金額でできるところを探してあちこち電話をかけまくる。
いや、本当にすごい。尊敬する。俺なら、0.013mmの穴を空けなければならない、とか微細加工するうえで部屋のホコリや人が歩くかすかな振動が邪魔になる、という時点で「やっぱり個人じゃ無理でしょ、それなりの設備が無いと」と決めつけて投げ出してしまうと思う。でも、それに真正面から取り組んで突破したんだなぁ、この人。技術者の鑑だ。
総括。これを読んで燃えない奴は技術者じゃない!
技術屋は、たまにはこういう本を読んでモチベーションを上げなければ駄目だ。もっとも、難解な記述は皆無なので、一般の人が読んでも十分に面白いと思う。プラネタリウムが何をするためのものか知っていても、その中身がどうなっているのか、とか運用上の苦労などを知っている人はなかなかいないと思うので、そういうところは読んでいて面白いと思う。あまりに面白くて、ついつい一晩で読み通してしまったぐらいだ。
メガスターのサイトはこちら。
http://www.megastar-net.com/
む、日本科学未来館で3月までメガスター動いてるな。これは見に行きたい!!