書くべきことは書くまでもないことの中にある

ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術』という本を読んだのだが、本の感想はそこそこにして、思ったことを書く。とにかくアウトプットだよ、君。

ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術 (宝島社新書)ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術 (宝島社新書)

宝島社 2010-01-09
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本書はブログやSNS、中でも特にTwitterを活用してセルフブランディングしていく手法について書かれた本である。正直なところ、目新しい内容ではない。しかし逆に考えれば、鉄板な内容で構成されているということであり、入門としては悪くないかもしれない。

本書の中で特に同感だ!と思ったのは、第二章にある「評価は第三者が決める」である。

いしたにさんがブログを始めてみて感じたことは何だろうか。それは「自分で人気記事になると思っても人気が出なかったり、逆に20分程度で書いた記事が大人気になったりする」ということだった。そこで、いしたにさんは「自分の了見は考えるだけムダだな。他人がブログを見て正しいと思ったことが正解」と感じ、あれこれ考えるのを止めた。悩んでいる暇があれば、とりあえずアウトプットして判断を第三者に任せることにした。

私もブログを書いているうちに、「とりあえずアウトプットして」反応を見るというスタイルに落ち着いた。

本ブログの人気記事にしても、最初から「これはウケるに違いない!」と思って書いたものはない。大抵の記事は、自分の技術メモを自分がどこからでも閲覧できる場所に置いておこう、と思ってとりあえず書いたものである。しかし、ありがたいことにそれなりに見ていただけている現実があり、当初は自分でも「こんな記事でも意外と読んでもらえるものなんだなぁ」と驚いていたものだ。前もって自分で「こんなのウケないだろうから書かない」と決めていたら、これらは存在しなかっただろう。

思うに、人は自分ができることを過小評価しがちである。自分があることを覚えようとするとき、「これができるようになった俺はすげぇ!」と思いながら覚えるわけだが、いざ覚えてしまうとそれはもはや自分にとって「できて当たり前」なので、すごくなったという実感が湧かない。だから、そうした「今の自分からすればたいしたことない」知見なんて積極的に公開しようと思わない。

しかし、忘れてはいけないのだ、それをすごいと思っていた自分がいたことを。そして過去の自分同様、それをすごいと思っている人々がいるであろうことを。彼らはあなたの思う「たいしたことない情報」をまさに必要としているのだ。

とはいえ、自分にとって「できて当たり前」な事柄の中で、どれが他者に有用な情報であるかは、自分の主観では仕分けが難しい。だから、「とりあえずアウトプットする」という行為は有効なのである。どうせ自分ではわかりっこないのだから、悩むのはムダだ。公開してしまえば、有用だったかどうかをはてブなりアクセス解析サービスなりが教えてくれる。

「自分には特に書けることがない」と言ってブログを書かない人が知人に何人かいるのだが、同様の理由で二の足を踏んでいる人がいたら、それはもったいない。きっと書けることはあなたが「書くまでもない」と思っていることの中にあるのだから。なんでもアウトプットしてみればよいのだ。

…そんなことを考えたので、「とりあえずアウトプット」してみた。