機動戦士ガンダムUC 虹の彼方に

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遂に読み終わった!感無量!

一作目を読み終わったあの日から、早2年近く、機動戦士ガンダムUC完結である。

あの福井晴敏が!宇宙世紀シリーズの新作を書く!これだけで面白くなることは保証されていると勝手に思っているこの作品である。

機動戦士ガンダムUC ユニコーンの日 - idesaku blog

えぇ、面白くなりましたとも!
福井晴敏お得意の謎をくどいほどに引っ張る手法、構成の巧みさ、旧シリーズとの(たぶん)完璧な整合、超常的な力を発揮する"変身"MS≪ユニコーンガンダム≫の神秘性と震えがくるほどの格好良さ、富野由悠季から引き継いだエログロ話(!)、その全てが強力に読者を牽引する。近年読んだ小説の中でも抜群のデキだった。

特に、登場人物たちのむき出しになった心の描写が生々しく、読んでいるこちらの感情移入も強烈であった。それゆえどの巻でも、読後は頭がしびれたような感覚に陥っていたものだ。子供向けでしかあり得なかった過去シリーズでは存在させられない、まさに「大人のためのガンダム」だ。

この最終巻を持って、引っ張りに引っ張った"ラプラスの箱"の正体が明らかになったわけだが…そうか、これが地球連邦政府を転覆させるほどの秘密か。これに近い予想をしていた人はままいたようだが、実際の秘密のほうが劇中で幾度となく描写される"ままならなさ"が表れていて、それが物語および終盤のミネバの言葉に深みを持たせている。さすがはプロ、我々素人のさらに上を考えていた。

しかし秘密自体よりも、この秘密を手にしたバナージたちがその処遇についてどういう決断を下すのか、というのが気になっていたのだが、そこは無難なところに落ち着いたなぁ、という感じ。これは仕方がないな、後の時代であるF91やVの話が存在する以上、あまり極端な終わらせ方は選べまい。

それでも、多彩な登場人物や深い背景設定といった膨大な要素を、≪ユニコーン≫が象徴する"可能性"に話をまとめた手腕はさすが。連載小説でこれだけの話を組み立てられるって、どんだけすごいんだよ。

本作は映像化されることが決定しているのだが、今から楽しみなのが半分、不安なのが半分だ。こんなにすごいの、本当に映像化できるの?という意味で。

ところで、本作のヒロインはマリーダだよな。異論は認めない。