ロケットガール4 魔法使いとランデヴー
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待望の―――本当に待ちに待っていた!―――第4巻が、ついに登場。短編3本と、書き下ろし中編1本だ。
ムーンフェイスをぶっとばせ
テレビ番組の企画で人気アイドルが宇宙に上がってきたのだが、そこでムーンフェイス*1になってしまってTVに映ることができない、さぁどうしましょう?という話。
わかりやすいギャグ短編。だが、ムーンフェイスにしろ宇宙酔いにしろ、今度宇宙旅行が一般化していくと無視できなくなる問題なのかもしれん。こうした面倒が現在のところ大して問題視されないのは、単に我慢のきく職業的なプロしか宇宙に出る機会が無いからにすぎない。身近になった宇宙を感じさせる点で、アーサー・C・クラーク『天の向こう側 (ハヤカワ文庫SF)』に通じるものがある。
終盤の三人娘の落ち着きっぷりが笑える。
クリスマス・ミッション
カードじゃない、サンタクロースを送ってはどうだ?それもロケットで!
クリスマスの朝、宇宙から天使のような三人娘が降りてきて、恵まれない子供たちにプレゼントを配る―――
「いいっ!これはいいっ!」
そんなわけで、オービタを海面ではなく地面に軟着陸させるシステムの実験がてら、サンタのまねごとをすることになる我らがガールズ。ゆかりが格好良すぎる。(元)女子高生とは思えぬ大した職業倫理の持ち主だ。
対決! 聖戦士VS女子高生
別にオーラロードが開かれたわけではない。地上ではありがちな某宗教原理主義の勘違い野郎どもの、洒落にならない暴走の顛末である。こういう馬鹿もそう遠くない未来に出てくるんじゃないかなぁ。怖い怖い。
魔法使いとランデヴー
ず、ず、ずるいぞ、はやぶさネタを持ってくるなんて!リアルタイムで動向を追っていた人間からすれば、これは卑怯極まりねぇ!電車内で読んでるのに、涙腺が決壊したらどうしてくれるんだぁぁぁ!!
・・・と言いつつ、誰か書け!とは思っていたので、それがロケットガールで書かれたことは喜ばしい。
たぶんシリーズ初の、マツリに焦点を当てた話。いつも脳天気なマツリが迎えた深刻な危機に、ゆかりも彼女を救うべくこれまでになく高いモチベーションを持ってミッションに挑む。こいつら、相変わらず無茶しやがるぜ・・・。
あぁ、もちろん茜も活躍しますよ?
「前から一度言おうって思ってたの。今日こそは科学的合理精神をもって密林に理性の光を」
「まま、ちょっと待て、茜」
「だって!」
さすが俺の嫁だな!
この本にある4本の中では、過去3巻の色が最も濃く出ていた。つまり、天下無敵の(元)女子高生、挑戦的なミッションの敢行、そして格好いい大人達だ。特に大人!本橋教授の去り際のセリフのかっこよさと来たらどうよ!
ミッションのビジュアルイメージがなかなかつかめなかったが、ロガロ翼の形状を理解すると飲み込みやすくなった。なんだ、よく知ってる形じゃないか。
*1:顔がむくんで満月のようにまん丸になってしまう現象