目を擦る女
- 作者: 小林泰三
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/09
- メディア: 文庫
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小林泰三『目を擦る女』読了。ハードSFの手法でホラー小説を書く希有な作家、小林泰三の短編集だ。収録作はどれも意外性は無いのだが、文章がうまいので面白く読める。SFなんだけど、ホラーなんだけど、なんかギャグっぽい。
目を擦る女
表題作。エドモンド・ハミルトンの『夢を見る人』を彷彿とさせる。しかし、後書きにもあったが、小林泰三はどうしてこうグロいシーンを楽しそうに書くのだろう?そういう印象を受ける。
超限探偵Σ
バカ。バカSF。類い希なる論理思考力を持つ探偵Σは、それはもうすさまじい。確かに限界超えてる。っていうか、普通そんなこと考えない。それが当たるのもおかしい。
脳喰い
斬新さは無い。展開は半ばで読めた。これの読みどころは、脳食いが人から脳みそを取り出すときの綿密な描写であろう。おもいっきりリアルでグロい描写なのに、なぜ笑えてしまうのか。
空からの風が止む時
これも半ばで展開が読めた。が、それもハードSFに慣れているからであって、あまりSFを読んでない人は気づかないかも。たぶんセンス・オブ・ワンダーを感じられるよ。
刻印
『超限探偵Σ』と並ぶか、もしかすると超えるバカSF。そしてクトゥルーネタも。蚊子ってあんた。刻印ってあんた。
未公開実験
「ターイムマスィーーーーン(ポース)」これに尽きる。でも、ちゃんとハードSFしてる。
予め決定されている明日
そろばんか。メモか。いやー、ある意味斬新だわ。普通こいつらをそういう用途で使おうとは思わない。でも、コンピュータにできるなら、そろばんにもできるわな。どっちも計算機だし。
個人的には『超限探偵Σ』『未公開実験』がお気に入り。他も悪くない。SFやホラーの入門書としてちょうど良いかと。