情報処理技術者試験の改革

ITProの記事参照。エンジニアのとりあえずの目標として設定されることがままある通産省情報処理技術者資格試験に改革のメスを入れるつもりらしい。

(1)技術認定手段にとどまっている同試験を資格試験にする,(2)情報処理技術者試験ITスキル標準(ITSS)を整合させ,特にITSSのレベル1 から3を認定できるようにする,(3)新たにIT産業に就職する人を対象に,基本情報技術者試験の下位に当たるエントリ試験を新設する,(4)試験の更新制度またはそれに類する制度を導入する

改革案の中でインパクトが大きいのは、(1)と(4)。(1)が遂行されると、この資格を持っていないとエンジニアとして働けない場所が出てくるかもしれない。(4)は・・・まぁ妥当ではあるが、維持がとても面倒になる。

情報処理技術者資格試験は、実際のところ現場エンジニアには蛇蝎のごとく忌み嫌われている。発展の早いこの業界の動向に試験内容が付いてこれていないし、そもそもこの資格を持っているからといって仕事ができることは保証されない。取るだけ時間と金の無駄、むしろ取る奴の気が知れないとまで言われることもある。

まぁ、俺は一種まで持っているわけだが。

だから擁護するわけではないが、情報処理技術者資格試験の存在意義は十分にあると思っている。コンピュータ初心者の最初の教材としては。

だってあんた、こういうのが無かったら、学生時代全然コンピュータ触ってません、と言ってくる新人連中に誰が基礎を教えるんだい?2,8,16進数への基数変換、文字コード、暗号の種類、RDBの理解とSQLの書き方、基礎的なプログラミングスキル・・・そんな初歩も初歩の内容をいちいち教えるのはあまりに面倒だ。「お前が無知なのはよくわかった、とりあえず基本情報処理技術者資格取っておけ。な?」と手頃な目標を与えて勉強させておくのがお手軽なのである。費用もそんなにかからないしね。

そんなわけで、情報処理技術者資格試験は今後も存続してもらいたいのだが、(1)と(4)が同時に実現されるのはごめんこうむりたい。あくまで初心者が入門に利用するのにまぁ良いか、という程度で、現場でバリバリ仕事をこなしているエンジニアからすれば、ほとんど役に立たない。そんな資格の維持に金と時間を費やすのは、とてつもなくイヤだ。

現場に投入される人材のあまりの質の低さに悲鳴を上げる毎日だし、適切な選別を行うシステムはのどから手が出るほど欲しいが、情報処理技術者資格試験がそれになり得るとはまったく思えない。どうか、今の初心者勉強材料として存続してほしい。