幼年期の終り

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

宇宙進出を目前に控えていた人類の前に、突如現れた地球外知性。後に「オーバーロード」と呼ばれることになる、超文明の使者の監督を受けた地球文明は、あらゆる障害や災厄を瞬く間に克服し、かつてない黄金時代を迎えるが・・・。

アーサー・C・クラーク幼年期の終り」読了。
SF好きな人間にとっては、もう説明の必要がどこにもないほど有名なこの作品を、ようやく読むことができた。科学、精神、文化にオカルト的な要素もとりこんで、人類が迎える未来、進化の果てを緻密に書き表した、まぎれもない傑作。

人類をより良い方向に導いていくオーバーロードだが、彼(彼ら?)が何を目指し、人類をどこへ向かわせようとしているのか、それは誰にも知らされない。そして、彼らの真意が明らかになるころには、人類はもう後戻りできないところまで歩みを進めてしまっていて、あとは「その時」の到来を見届けることしかできない。進化は究極まで突き進むが、それがそれまでの人類にとって何を意味するのか。壮大な話にめまいを覚えつつ、一抹のもの悲しさを感じさせる。

人類の進化を題材とした作品はいろいろあるが、なんと、こうきたか。さすがは大御所、大満足の内容であった。