Self-Reference ENGINE

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

これはまた感想を書きづらい本を読んでしまったな。。。

傑作。傑作だと思う。来年の星雲賞に推してもいいんじゃないか、ぐらいに思っている。思っているのだが、なぜそう感じるのか自分でもうまく説明できない、というかよくわかっていない。
遠未来(だと思われる)、大型化と高性能化を突き進めた巨大知性体がなにかをやらかしてしまったために、宇宙はたくさんの断片に分裂してしまった。その分裂したたくさんの時空における、他愛のない話(なんじゃないかなぁ)20編が収録されている。

とりあえず、地の文の書き方が絶妙なのでそれだけで面白く読める。

が、なんだろう、これは。簡単なことを無駄に複雑に書いているようでもあり、複雑極まることを突き放すかのように単純化しているようにも読める。単に読者にもっともらしいがトンチンカンなことをふっかけて煙に巻いているようにも感じるが、なにか論理の繋がりめいたものも感じられないことも無きにしもあらず。この混乱したふざけた世界をちゃんと説明してくれているようで、それでも無限に存在する話は全部説明しきれねーよ、とアッサリと投げ出していたりする。ちゃんとSFしているんだけど、科学考証を飛び越えたアクロバットというか反則技をサラリとぶちかまして「だってそーなんだから仕方がない」と言わんばかり。

・・・何言ってんだ、俺?

まーなんだ、哲学的な気もするけど、不条理極まる複雑系バカSF。うん、バカSFだな。これがいちばんしっくりくる。

あぁ、全般的に誉めてます。誉めてますってば。