暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号までSimon Singh 青木 薫

新潮社 2001-07-31
売り上げランキング : 80736

おすすめ平均 star
star面白いです。
starロゼッタストーンから量子暗号まで・・面白くてワクワク
star難解なテーマを簡単に読める楽しさ

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暗号作成者と暗号解析者の競い合いで磨かれていく暗号の発展の歴史、そしてそこに生まれた人間ドラマをまとめた書籍、サイモン・シン『暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで』を読み終えた。・・・べ、べつに長門有希の百冊にあるから読んだんじゃないからな!

本当に原始的な暗号であるシーザー暗号から開始して、換字暗号、ヴィジュネル暗号、エニグマ・・・と、暗号の発展を追っていく形になっている。暗号は、作られては弱点を見つけられて破られ、その弱点を克服した暗号を作ってはそれも破られ・・・といういたちごっこの繰り返しで発展してきているので、こうして歴史を追う形で徐々に見ていくと暗号のあらゆる手続きに意味が見いだせて理解しやすい。公式覚えるより解き方を覚えろ、に近い。

それだけだと技術書になってしまうが、その暗号にまつわる歴史の動き、人間ドラマがしっかり書かれていて、ここがまた面白い。書き方がうまいんだ、この人。どう考えても地味になる暗号の作成と解読を、こうもドラマチックに書けるとは。特に、エニグマの発明と、その解読に全精力を傾ける人々の闘いはすごく盛り上がったねぇ。

暗号の歴史には全般的に興味があったが、一番読みたかったのは「公開鍵暗号」の部分だ。Diffie-Hellman鍵交換方式と、その発展系になる公開鍵暗号はまさに奇跡と言えるすばらしい発明で、この手続きを理解したときは感動と興奮のあまり夜眠れなかったものである。鍵配送問題(秘密の情報は暗号化して送るとして、それに使った鍵はどうやって送るのか?)という鬼門に挑み、「そんなことできない」とタカをくくる周囲の嘲笑をものともせず、地道に研究を重ね、ついには魔法のような解決策を編み出して世界の暗号学者達の度肝を抜くのだ!!これについて書かれた第VI章を読んでいるときはもう至福のひとときだったね。驚愕の事実も書かれていたし。

すげぇ面白い。ホントに。ここ一週間、夢中になって読んだ。我々はどこかで必ず暗号技術の世話になっているわけだし、自分たちのプライバシーを預けている暗号技術がどんなもので、どれぐらい信頼できるものなのか、を知っておくのも悪くない。だから、『暗号解読』はオススメだ。

追記。文庫版が出た。

暗号解読 上巻 (1) (新潮文庫 シ 37-2)
暗号解読 上巻 (1) (新潮文庫 シ 37-2)青木 薫

新潮社 2007-06
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おすすめ平均 star
star暗号とはこんなにも奥深いものだったのか
star暗号の時代は 実は今なのだ
star暗号がここまで歴史を左右していたとは・・・

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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)
暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)青木 薫

新潮社 2007-06
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おすすめ平均 star
starその場に居合わせたかのような臨場感で読ませる暗号の歴史
star暗号の善と悪
star平易に歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに教えてくれる

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