Newton2009年3月号 雪と氷の科学

Newton (ニュートン) 2009年 03月号 [雑誌]Newton (ニュートン) 2009年 03月号 [雑誌]

ニュートンプレス 2009-01-26
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いわゆる水伝への批判記事のいくつかで、「水の結晶の生成メカニズムは、とうの昔に中谷宇吉郎が明らかにしている」といった記述を見かけて、ほぅ、日本人がそのような成果を、と気になっていた。Newton3月号の特集で、その中谷宇吉郎の功績が語られている。
中谷宇吉郎は雪結晶を実験室の中で生成することに世界で初めて成功した人物だ。その過程で、雪結晶には核が必要なこと、そして結晶の形状は気温と湿度で決定されることを示した。そして、この功績により、雪結晶の形状を調べることで上空の気温と湿度を知ることができるようになった。

本誌ではその先の話、例えば雪の結晶がすべて六角形をベースとした形状としているのは何故なのか、結晶同士が110度で交わる理由は、といったより突っ込んだ話まで、美麗な写真と共に記載してある。たかが雪、たかが氷でもその中には驚嘆すべき自然のメカニズムが隠されているものである。

もちろん、水伝が言うような、そこに言葉や心が介在する余地などない。美しい結晶を作るのに美しい言葉や心など必要ないのだ。しかし、こうした結晶を作ってしまう自然界の不思議を解き明かすには、そこに惹かれ、追求する人の心が必要だ。雪結晶は美しく神秘的で、人が惹かれるのも無理ない。どうせならその心をよりよい方向に使いたいものだ。オカルトごときにくれてやるにはもったいない。