科学の理解度判定問題

以下の問いについて、科学的思考としてより妥当だと思われる答えをa, bから選択せよ。また、それを選択した理由を自由に記述せよ(答え 各2点、理由 各18点 合計100点)。

http://asios-blog.seesaa.net/article/102146593.html

そういうわけで、ASIOS公式ブログで出題された"科学の理解度判定問題"に挑戦する。

答えはきっと簡単にわかるが、理由を書く段階でいろいろ考えさせてくれるので、みんなも是非挑戦してみてほしい。

【問1】新しい理論は科学を発展させるから、新たな主張にはあまり厳しい批判をせず、大事に扱うべきである。
a. その通り
b. そうではない

答え: b
理由: 科学においては既存の理論を元にして新たな理論を積み上げていく。もし、後になって元となった理論の誤りが判明した場合、その上に積み上げられた理論の全てが瓦解してしまう。よって、新しい理論は今後他の理論の基盤となり得るだけの十分な信頼性を備えているべきであり、それを確認するためにはむしろ厳しい批判や検証を歓迎するべきである。

【問2】これからも絶対に間違いが見つからないように注意して作られた理論は、当然正しい理論である。
a. その通り
b. そうではない

答え: b
理由: 「絶対に間違いが見つからないように注意」することは、「絶対に間違いが見つからない」ことを保証しない。新たな理論の登場や観測技術の発達により新たな事実が判明した場合、それが理論の誤りを見つけ出す可能性は十分にある。

【問3】新しく立てた理論について、その理論で説明できるという例を沢山見つければ、その理論の正しさはどんどん確実になっていく。
a. その通り
b. そうではない

答え: b
理由: すでに判明している事実を説明できることは、正しさの証明としては何もないよりはマシだが確実ではない。というのも、事実に合わせて理論を調整した可能性が残るからである。新しい理論の正しさを確実に証明するためには、まだ誰も観測していない事実をその理論によって予言してみせる必要がある。

【問4】"「白いカラスが存在する」という主張と「白いカラスは存在しない」という主張は対等なのだから、双方が証拠を持ち寄って議論すべきだ。"という考えは科学的である。
a. その通り
b. そうではない

答え: b
理由: 存在の証明と、非存在の証明は対等ではない。後者はほとんど証明不可能であることが多いからである。よって、基本的には現実的に証明可能である側、つまり「存在する」と主張する側が証拠を提示しなければならない。

【問5】科学の歴史において現代では間違いとされる理論が主流になっていた事が多々ある。これは科学が失敗した例である。
a. その通り
b. そうではない

答え: b
理由: 科学というのは、仮説構築、実験および観測、そして検証のサイクルによって新たな理論を構築する一連のプロセスを表す言葉であって、理論そのものを指しているわけではない。よって、過去の未熟な観測技術で得られる限られた情報では真実に十分に近い理論を作れなかったかもしれないが、それを作り出したプロセスが正しければ、科学が誤っていたとは言えない。


追記:回答した後で他の人たちの回答も見てみたのだが、結構違うことを書いているな。「答え」は簡単にわかるのだが、その「理由」となるといろいろあって面白い。

追記回答キタコレ