議論のルールブック

議論のルールブック (新潮新書)

議論のルールブック (新潮新書)

「議論とは人の話を聞くことである」

建設的な議論を行うための指針について書かれた本。しかし、議論の仕方以前に議論とはなんぞや?というところから叩き直された。著者からすれば「内容はごく常識的なことばかり」らしいのだが、俺としては目から鱗であった。

議論の結論とは、各自で結論を考えるための判断材料でしかないのです。議論の中で出された全ての意見や発言、つまりは議論そのものが結論なのです。

な、なんだってー!?

議論というのは、相反する意見の中から正しいものを選び出すために行う、というイメージがあったのだが、そうではないらしい。

議論は、皆が集まって同じ結論を出すことに意義があるのではありません。皆が集まって、それぞれが違う発言をすることに意義があるのです。(略)「結論が人それぞれなのだから議論は無意味だ」というのはまったく逆です。

異なる意見があるのだ、ということを明らかにできればそれで議論としては成功になるのだ。だから、自らの発言によって相手のさらなる発言を促し、それを聞いて受け入れたうえでまた発言を・・・ということを繰り返してたくさんの発言を得なければならない。相手を論破して黙らせて、自分の意見を押し通すのは議論でやるべきことじゃない。イタタタ、この間違いよくやるわ、俺。

この本に出てくる例の中には、自分が使っているパターンがいくつもある。そして、それらがことごとく「そうじゃない」とツッコまれる。先に挙げたものなどほんの一部である。いやぁ、へこむわ、これは(汗)こうもダメ出しくらうのは俺だけなんだろうか?そうではないと思いたい。いや、きっとみんなダメ出しされるはず。そうでなければ、ネットに不毛な論争がこうも溢れているはずがない。

しかし、この本をちゃんと読んでおけば、そんな口げんかにエネルギーを浪費することも減るかも知れない。身のある議論をする方法も、人の話を聞かずただ場を荒らすだけの議論破壊者たちを華麗にスルーする方法も教えてくれるのだから。