裏山の宇宙船

裏山の宇宙船 (ソノラマノベルス)

裏山の宇宙船 (ソノラマノベルス)

笹本裕一『裏山の宇宙船』読了。長らく積んでいた本をようやく読めた。

田舎の山奥で、地元の高校生たちがたまたま宇宙船を発見してしまう話である。

主人公達は国家機関や大企業のような大きな組織のメンバーではない、一介の高校生にすぎない。そんな彼らが、ろくな設備も無い状況で、ありあわせの道具を駆使し、観察と考察を重ねて、少しずつ宇宙船の秘密を明らかにしていく。着実に一歩ずつ進展していく物語の展開は実に地味に感じられるわけだが、それがまたリアリティを醸し出すのに一役かっている。

後半、"リュー"との意思疎通があまりにスムーズにいきすぎているのがちょいとご都合主義っぽいか?身振り手振りと片言でなんとか通じている状態で、面倒な物理法則の話をするのは難しいだろう。

しかし、この本ではそんなことは大した問題ではない。きっと、「知恵と度胸と行動力があれば、田舎の裏山でだってファーストコンタクトできるんだ!」という気合いを見せつけることのほうが大事なのだ。