ご冗談でしょう、ファインマンさん
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ノーベル賞物理学者として有名なリチャード・P・ファインマン氏の半生を語ったエッセイである。ファインマン氏はそのユーモア溢れる人格で、物理学者の中でもアインシュタインと並んで多大な人気を誇る人だ。
ファインマン氏はとにかく好奇心いっぱいで、いたずら好きだ。少年時代からいろんなことをやらかしては周囲を引っかき回し、それは大人になってもなんら変わることがなかった。「物理学者」という肩書きから感じる堅苦しさとはまるで無縁だ。
数学と物理ではトップの成績を維持するが、一般教科は苦手なのでごまかしつつ評価を取る。レストランでウェイトレスをからかい、原爆の機密文書を収めたキャビネットの錠前破りをしたかと思ったら、ブラジルに行ってボンゴを叩きつつパレードに参加、今度は絵画を始めて上達するも、日本語の勉強は挫折する。
現代人の大多数のように「それが何の役に立つの?」などという興ざめな考え方はしない。興味を持ってしまったらとにかく手を出してそれにのめり込み、徹底的に楽しむ。人生を楽しむ達人であった。
そして、実に賢い、賢さの本質を突いた人であった。真に理解しているから、実にわかりやすい形で物理を教えることができた。実験すること、理解することを重要視しており、それらを怠って暗記を促すばかりの詰め込み式教育に憤りを抱いていた。
あんまり小難しい話は無くて、ファインマン氏のおもしろおかしいエピソードがぎっしり詰め込まれている。しかし、そんな中にもファインマン流の人生哲学(本人は哲学が嫌いだったが・・・)といったものがピリッと効いている。ファインマン氏の生き方、考え方は科学する者に止まらず、多くの人々にとって憧れ、追いかけたくなる魅力的なものに映るだろう。