数学ガール
数学ガール 結城 浩 ソフトバンククリエイティブ 2007-06-27 売り上げランキング : 624 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
テトラちゃんは俺の嫁。
結城浩氏はきっとこういう感想を求めているに違いない!「はに?」なんてわけわからん言葉(?)を喋らせている以上否定はさせん!!
冗談はさておき。
主人公の高校生男子が、数学の才媛のミルカさん、可愛い後輩のテトラちゃんと一緒に数学の世界を旅する本である。
なんと数学愛が溢れる本であろうか。数学というのは面白いものである、というスタンスが貫かれている。登場人物達は受験の為の数学をやろうというのではなく、放課後の図書室でただ楽しみとして数学と戯れる。
驚くほどに数学の基礎の基礎から入る。学生時代はわかっているフリをしていた部分にするどく切り込んでくる。例えば、厳密な定義の書き方、とか。変数名にsをつかうのは何故?なんていう疑問すら登場する。定理といて記憶していた数式もちゃんと導出する。そうだよ、わけわからんまま暗記しても面白くないんだよ。
もっとも、最終的には高校生レベルの数学がある程度理解できていないと読めないと思う。かなりわかりやすく書いてあると思うのだが、斜め読みしているとあっという間においていかれる。しかし、不思議と対数や行列、微積分に対する抵抗感があまり出てこなかった。これはやはり書き方がうまい。これらの概念が、あくまで我々の理解を助けるための武器であることを強調している。実際、長ったらしい数式がこれらを使うことでアッサリとした表現にまとまり、驚くべき式展開を起こす様を見せつけてくれる。
そして、フィボナッチ数列の一般項の導出を見て「あ、面白い」と思った時点で俺の負けである。もはやこの本を適当に読み流すことができなくなってしまった。実際、本自体は発売日に購入していたのに、読み終えるのに今日までかけてしまった。だってもったいなくなったんだもの。
通勤電車で、ヘタすると仕事中よりもキリキリと頭を働かせる日々。そして、数式を眺めてひとしきり頭を使った後で、メインキャラ3人による、読んでいる方が恥ずかしくなるような青春ストーリーが展開して気分転換完了気分爽快。そんなループ。
いや、数学の入門として日和りすぎず、かといって難解すぎることもない、絶妙なバランスの本だと思う。受験数学に辟易して放り出してしまった人は、今一度挑戦してみるといいんじゃなかろうか。人生において役に立つかなんてどうでもいい。ただ、楽しめる。
追記。
こちらのサポートページも見ておくとよし。インタビューとかある。