JavaからRubyへ マネージャのための実践移行ガイド

JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド

JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド

Javaなんて古臭くて堅苦しい言語はもう飽き飽きだぜ!俺たちゃクールなRuby on Railsと突っ走るのさ!といった内容の本が登場。JavaからRubyへの乗り換えに成功した筆者が、その経験を元に有効な移行手段についてレクチャーしてくれる。それにしても、Ruby関係の本が出てくるようになったな、オライリー

Javaは素晴らしい言語で、多くのエンジニアが競ってこれを学び、多くの企業が我先にと導入を進め、一時代を築いた。しかし、あまりに巨大化しふくれあがった今のJavaに当初の魅力、当初の生産性は無い。Javaエンジニアの多くは巷に溢れる巨大で複雑なフレームワークを追いかけるだけで息切れする。Javaの生産性はもはや限界に達している。

そこに彗星のごとく現れた怪物がいる。Ruby on Railsだ。Javaと既存フレームワークの組み合わせを大きく上回る、Railsの驚異の生産性は瞬く間に世界中のエンジニアを魅了し、それはRubyという言語の再評価にも繋がった。Railsはすごいし、Railsの実装を実現するスペックを持ったRubyもすごい。

そんなわけで、今のJavaが抱えている数多くの病巣を、Ruby(というかRails)の導入によりどれだけ華麗に解消できるのか、ということが熱く、暑苦しいほどに熱く語られるのである。

どんなに贔屓目に見ても、EJBに適しているのは、分散トランザクションのような高度な機能が要求されるニッチな分野です。
よく言ってくれた!やっぱりみんなそう思ってるんだよな!EJBはやりすぎだって。度を超えて複雑で難しすぎる。

こんにちのJava開発の立ち上がりの悪さはもはやトラウマです。
よく言ってくれた!やっぱりみんな(ry

最近俺がJava開発から離れ気味になっている理由がすべて書かれている。こりゃ絶対世界のエンジニアの共通認識だと思っていたよ。

そこでRubyだ。RubyJavaよりも遙かにわかりやすく簡潔にコードを書ける。学習コストも安い。Railsの扱いはすごく簡単だし、Javaと周辺アーキテクチャが抱えるもろもろの問題を一気に解消するパフォーマンスを持っている。もちろん欠点もあるが、それはプログラマの能力で十分にカバーできるものがほとんどだ。

しかも、今はJRubyもある。RubyJavaを駆逐するわけではなく、共存の道も取れる。JavaRubyの緊密な連携を実現するJRubyは、両者がWin-Winの関係を結ぶための勝利の鍵と言える。

無論、Rubyがあれば問題はみんな解決、などという乱暴なことは言っておらず、やはりJavaJavaで使いどころはあるので、ちゃんとリスクを勘案した上で適切な手段でRubyを導入していこう、という内容になっている。もっとも、タイトルがタイトルなので圧倒的にRubyびいきなのは仕方がない。

それでも、Javaへの敬意を忘れない最後の一文は見事としか言いようがない。Javaの在りし日と、やつに心酔した頃を思い出して涙出そうになったよ・・・。ありがとう、Java

200ページも無い軽い本だし、マネージャ向けと銘打っているだけあってコードもほとんど出てこないからスラスラ読める。だから、SpringとかHibernateとかEJB3.0とかで悪戦苦闘している人は、とりあえず手にとってみてほしい。もしかすると、そんな面倒な奴ら相手にしなくて良いかもよ?